謎をかかえたまま飛行機に乗る。
すごく懐かしい人から、由布院でリトリートやるから弾きに来てよ。と仕事の依頼が来た。
でもなんか山の中腹で弾くとか、面白そうだけど、定員6人のとてもコアな内容と人の輪の中で弾くらしい。
前から宇宙人と噂されていたN氏。
まあ、きっと細かく打ち合わせはムリだな。
来ればわかるよって言いたいのだろうな。
と、とにかく楽器と衣装だけもって待ち合わせの由布院駅へ。
集まった人達と三台の車で由布院のN氏おすすめの所をまわる。
森の中と、草原とで弾いてほしい。
そして、ものすごく素敵な女性カメラマンが、N氏の取材で同行していたので、その日本とは思えないような草原で衣装に着替えて楽器を持って撮影していただきました。
なんかとってもいい写真が撮れた気がします。
いろいろ面白い人達の集まりで、あと二日。何がおこるのかなー。
それにしても、震災の影響で観光客激減の由布院。
チラホラいたのはみなさんアジアから来た方々。
普段混んでて入れない場所がほぼ貸切。
ここへ移住して1年半のN氏が、だから今観光はとてもオススメだよ。
サービスもめちゃくちゃいいしね。
彼一押しの温泉がまた森の中の露天風呂で、めちゃくちゃ気持ちよかった。
温泉の質、水の質、食べ物の質。
すごくいいって、住みたくなっちゃいますね。
これはやっぱりむりかな。。
最初、めったに見ないポストを開けて、そこに馬の尻尾を見つけた時は、わー!と喜んだけど、よーく見ると、いろんな毛が混じっていて、選り分けるのにもお互い絶妙に絡まっていて、えらいことになりそうだ。
天気のいい日、庭のウッドデッキに座り込んで、フウ、シバ、ハル、三頭の遠野から送られてきた馬の尻尾の毛を眺めて、いじってるうちに、キュンキュンしてきた。
これ、私、本当に馬が大好きでよかった。
じゃなかったら、この作業、心折れる。
そして、これを使って楽器を作ってください。
と、スーホの白い馬の話のようなことを言う馬主の菊池さんの気持ちが分かる。
だから、座り込んで、どうしたら、長いのだけ残せるのかと取り組む。
だんだん日差しがジリジリ。
麦わら帽子をかぶって、裸足であぐらをかき、ウッドデッキでジッと馬の尻尾と戯れる。
でもやっぱり、馬の尻尾だーと、ニヤニヤしてしまう私はおかしい。
獣の匂いがする。
尻尾の毛の脂分なのか、絡まってるのを解くのがとても困難。
ずいぶん菊池さんは洗ってくれたようでしたが、どうしても匂いが落ちませんと言っていた。
それでもあーだこーだしてるうちに、簡単に選り分ける方法を見つけ、わりとそこから順調な作業。
途中暑くて
馬のヒゲ
こちら菊池さんが馬の尻尾を選定してくれてるところ。
菊池さんの娘ちゃんかな。かわいい。。
これ、弓を使う弦楽器奏者なら分かってくださると思いますが、むりかも。。
と思うのも無理ない。
見た目からして、剛毛。ちょいチリチリ。短ーいのとか、たくさん絡まってワチャワチャしてる。
いつも見ている、あの弓の毛の柔らかく、艶やかで、素直な感じと、まるで見た目が違う。
とにかくやってみよう!
菊池さんも、できなかったらできなかったで、でもやってみた!どうなるかな?ってワクワクすることが大事ですよね!
って。
そう。
三頭の尻尾の毛がそれぞれ、別々に束ねられてる。
それをみると、混ぜちゃいけないなと思う。
そうか、これが、ハルの音か。
これはシバの音で、こっちはフウの音。って、しみじみする菊池さんの顔が浮かぶ。。
三頭いるし。
馬頭琴の弦二本だし。
わりと黒々と統一されてる感のあるフウの毛→外線(140本。低音)
毛先が赤毛になってきて先細りのハルの毛→内線(120本。高音)
じゃあシバの毛は?
弓かー。
弓かー。
弓かー。
それこそ細い木の棒を弓なりに曲げて両端をくくりつける。
しかないよね。
そのシバの毛→癖っ毛。泣
選り分けて、梳かしつけて、束ねるまでは頑張ればできる。
そこからが問題。
馬頭琴の弦は、これでもか!っていうくらい引っ張る。
ものすごく引っ張られている状態で弾くので音が出る。
てことは、ものすごーく強く楽器に固定されてないとならない。
普段使ってるナイロン弦はもちろんきれいに束ねられ、先が熱で溶かされて、ばらけることも、解けることもない。
馬の毛→たぶん熱でチリチリに焦げでなくなる。
じゃあどうする?
ロウを垂らしてみました。ミツロウ。馬の尻尾の毛に優しそう。
優しい必要はないのだけど、たまたま家にあったから。
ので、さらに家にあった、木工用ボンドでからめてみる。
こっからは、リハーサルで集まった3人がかり、このようにセッティングしたのに、
日のあるうちにやらないと、見えなくなりそうだということで、まず、どのように先端を頑丈にくくりつけるか。
私が普段使っている内モンゴルの楽器に固定するのは、違う気がしたので、あえて昔の牛の皮を張った楽器をだしてくる。
そこには、馬の尻尾の弦が付いてる。
羨ましくそれを眺めつつ、外す。
外すときに、どのように固定されていたか、慎重に一本外してみる。
ものすごく単純そうだったのに、分からなくなった!
ので、もう一本外すときに三人でよく見守りながら、尚且つ動画を撮る。笑
で、ドラムの前田さんが無事習得したので、結んでいただいて、固定はなんとかなったものの、楽器の魂柱が倒れてるーーーー♪
魂柱→コンチュウ。
音の要です。
わかります?
皮なので表面に穴はなく、このように脇にある。
1人が楽器をもち、1人が寝っ転がってコロコロ動く魂柱をおびき寄せ、1人が菜箸を持って穴から魂柱を掴む。
という、取っ組み合ってる最中に、友達が差し入れを持ってやってきた。
え??なに??
なにしてるの?
あ!ちょっとここ、抑えてて!
と手伝わされる。
まあで、無事立てました。
で、長さが少し足りなくて糸巻きに巻きつけるのが苦労しましたが、なんとか。
ですが、三つ編みするときに引っ張り方が足りなかったとみえて、やり直しです。
もう後日にします。
弓はどうしようかなーーーー。
そういえば、この馬の尻尾の毛の楽器を岩手県の遠野のライブで披露できるかどうかですが、このブログの少し前に遠野に打ち合わせに行った話を書きましたが、誰に呼ばれたのか?という謎を残し、遠野に呼ばれたんだね。
という素敵な流れになりましたが、(笑)
昨夜ふと、あれ?遠野には菊池姓が多いとどこかで見たのを思い出し、その後で、その菊池が九州から来ているという歴史をやはりどこかで目にして、ふーーん。と思った瞬間、
あら?
父が昔、姓は私も父も西郷ですが、 鹿児島出身の父が、昔話の折に、お祖父さんが薩摩士族で、元は菊池というお殿さんの分家が西郷だと話していたのを急に思い出して、ふとググってみましたら、西郷の菊池と遠野の菊池は同じだということがわかって、面白いなーと思いました。
作業は続く。
6月11日15時〜
岩手県遠野市綾織町
馬と暮らすまち遠野
《馬頭琴ライブ》
馬頭琴 美炎
キーボード 竹井美子
ドラム・パーカッション 前田仁