2015
アースマンシップさんの車に揺られて奥多摩へ。
学生の時によく川下りで来た以来かなぁ。
思いっきり寒くて、思いっきり曇り。細かい雨がチラついているかと思えば、なんか舞ってる?白いもの。 でも心配はしない。
山の中の沢筋で演奏のご依頼。その為の下見。どこで弾くか、音はどうか、話を聞いたときは、電源が一切ない環境なので、音の条件によっては厳しい事もありうるから、下見が必要だと思った。
でも日にちが近くなって、何も心配がなくなってきた。
途中、可愛いパン屋さんで、国産小麦の小さくて、しっかりした歯ごたえと、味わいのパンを買う。 どんどん山の中へ。
アースマンシップの代表の岡田淳さんは、ネイティヴアメリカンのサバイバルの知恵を向こうでがっつり学んできた筋金入りのひと。
でもいたって自然で、羽根のように柔らかく優しい存在感で、とても信頼できる。
だから奥多摩の山の中で代々林業や狩猟をしている村の人達に受け入れられ、教え請われた稀有な方。
東京都の水源の森、許可を特別に得ている車しか入れないエリアへ。 そして、アースマンシップさんのフィールドに到着。
急な斜面の山がせめぎ合う沢筋なのに、ここだけぽっかり空間がある。
岡田さん夫婦は、いろいろ片付けをはじめ、私は沢を眺めに行ったりあちこち見て、満足すると、さて、どこで弾こうかな。
ぐるっと見回すと、あら、あそこにあった。 太い木のかたわらに丸太がイスのようにあったのでそこに腰掛けて弾く。 思ったより、響く。
ちょうど石畳になっている足元と、その向かいの沢から一気に急な斜面の山が迫っているので、響くんだろうな。
念のため他のあちこちでも弾く。悪くないけど、一巡して初めの所で弾くと、あきらかに響きが違う。
いつの間にかお日様がそのせめぎ合う山の合間からこの空間にさんさんと注ぎ、暖かい。爽やかな風がそよぎ、先ほどの冬に逆戻りなお天気が、春の気配にかわる。
初めてここへ来て、沢を眺め、大きな岩の上から沢の上流を眺めた時、涙が出た。
岡田さんが組んだ岩の中で焚き火をしてくれて、買ったパンをかじり、お茶を飲む。 一体なんなんだここは。
山の中のフィールドはどこでも同じ山の中。 でもそこだけ特別な空間で特別な時間が流れているみたいな感覚。
実は岡田さんはフィールドを探している時に、ひょんな事からこの場所に巡りあったのだが、ふと、自分が中学の時にはじめて放浪して、野宿した場所が他でもないこの場所だったと思い出すのだ。
呼ばれたのだろうな。この場所に。
さてそんな奥多摩への小旅行の前日は、録音とリハーサルに明け暮れておりました。
マザー牧場での演奏など、共演者を連れて行くのが難しい場合にむけて、可能な範囲でのカラオケ作り。
そして5月23日の君津市民文化ホールでの「スーホの白い馬」公演、人形浄瑠璃✖️馬頭琴の時に向けて、CDを新しく製作中です。
二つのタイプの異なるCD、ジャケットも、只今全くタイプの異なる2人のアーティストに絵を描いてもらいます。
このへんは追い追い。
夜は去年の美浜文化ホールでの「ホワイトバッファローの伝説」公演以来のホワイトバッファローを、4月4日に下北沢のstayhappyでの米本久美子絵の展示会のオープニングパーティーでのライブに向けてリハーサル。
みんな録音でヨレヨレなのに、ホワイトバッファローを急ピッチで仕上げていく・・
やれることは全部やる。私はそれでいいのですが、皆様本当に付き合っていただきありがとうございます。