2016
海。
その唄が一体何の歌なのかずっときになっていた。
幼い頃父とお風呂に入ると、父がお湯に浸かってうたう唄があった。
なんだか悠々とした景色が広がり、でも少し物悲しい気がした。
父の声とともにその唄が好きだった。
琵琶湖を船で島へ。
船着場で券を買おうとしたら、強風で船が出ないかもしれないとのこと。
まあ、出たら行きましょ。と思い待つ。
知らなかったけど、日本三大弁天さんなのね。
出航することになった。
船に乗るとこの唄が流れてきた。
びっくり。
先日久しぶりに父とあったばかりだったからまた不思議な感じ。
琵琶湖周航の歌
琵琶湖周航の歌
島についたら、風はやんで先ほどまでの荒れようが嘘のように穏やか。
穏やかすぎて眠くなってしまいそう。
急な階段を山の斜面に沿ってのぼる。あちこちみてまわって最後は龍神さんの岬。
船から、あ、あそこ。って思ったところ。
何だろうこの気持ち良さ。
そしてこの眺め。
海にしか見えないのに確かに海とは違う。
ただよう波間に光がキラキラしていて、それを見ていると穏やかな風が流れてきて、自分が音楽ができることがとてつもなく幸せでありがたいことだと涙が自然に出てくる。
そこにいつまでも佇みながら、今この場にいる幸せと、大切な巡り合わせをかみしめていた。
山城で演奏したかった。
誰もいない。
誰も聞いていない。
登る途中にあった、馬場。
戦に駆り出され亡くなった馬のことも想いながら馬の曲も弾く。
最初にオリジナルの風と空のうたを弾いたら、山の下からブワーと風が吹き上がってきた。
嬉しすぎて笑ってしまう。
と、目の前にある椿の大木から椿の花が、ぽんと、まるで誰かが投げたように私の足元に落ちた。
そんなことも嬉しくて、ただただ弾く。
弾くたびに風が吹き上がってき気持ちがいい。
こんなに楽しいことって、久しぶりだ!!
山城へ来る前、ライブをしたことのある岡山のカフェで素敵な絵本に出会った。
読んでいくうちに涙が止まらない。
馬が大好きな天才絵師が描いた馬が生きて絵から飛び出し、それをある武将が戦に連れて行き、沢山の馬が死ぬのを見て、泣いた馬はどこかへ消えてしまう。
探した武将が絵師の元へいくと、馬は仲間と共に絵の中で静かに暮らしていた。
というお話。
これ、舞台でやりたいな。お話と音楽と。
でも絵はどう見せるかなー。すぐにはできないかなー。などと少し迷っていた。
西の旅を終えて家に戻る。
すると絵本挿絵家の米本久美子さんから、贈り物が届いていた。
その中に、亡くなった父が遺したものです。
と黒馬が。
とても小さな黒馬ですが、昔の人の手仕事はすごいなと思います。
こんな小さな黒馬に大きな力が宿っているようでもあります。
その大きな力を馬頭琴の音楽で表現していきたいと改めて想いました。