2016
ゼロ
海辺に立つ。
小雨がぱらついている空は真っ白で海との境界線が無い。
風がその奥から止まることなく吹いてきて、砂浜にしっかり立っていないとふらつきそうだ。
荒浜。
はじめてきた。
高速のインターを降りると、どこも更地であちこちで工事中。
仙台の帰りに海辺に寄った。
目を瞑る。
なぜか太陽の光を感じる。
振り返ると震災のあの時から、私は音楽という仕事に覚悟を持てるようになった。
それなのに時たま感謝を忘れる。
自分はどんなに進もうと、立っている場所はこのゼロだ。
向かい合う人もどこにいようと同じ地平に立っている。
それを忘れないように。
荒浜で思う。
一曲弾いた。
湿気と向かい風で音は出なくても、弾きたいと思った。
なぜか弾くだに音が響いてくる。
誰かが力を貸してくれている。
そんな感覚があった。
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ガラス絵作家の児玉房子さんの本を読んだ。
手放すと入ってくるものがある。
放したくないと思っているうちは余計な力が入り、感覚が鈍る。
もともと無い。
と思うようにすると、余計な力が抜けて、感覚が鋭くなる。
すると、今、何をしたらいいかわかる。
そしてそれだけすればいい。
同行してくださった、純姫さんのブログより、コンサートの模様。
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