2016
この田舎の家に一人でいると、世界から隔離されてるようで、ぞわぞわする。
でもこの空の向こうはアラスカだったり太平洋だったり自分の妄想では随分と都合のいい世界だ。
最近は台所の机から外を眺めたり、本を読んだりするのが好きだ。
今日も台所の窓からはベランダの柵に雄のキジがとまっているのが見える。
しばらくすると谷地の方へ飛んで行った。
そして急に空が開けて日差しが熱くなり、そこに向けて洗濯物を干す。
それからしばらくまた読書に没頭してると、急に空が暗くなってスコールのような大雨。
外に飛び出る。
といっても広いベランダには屋根があるので雨にはうたれないですむ。
広がる谷地と、ベランダの下の草むらに雨が降り続けるのをみる。
向こうの空は少しだけ晴れてる。
空がドラマチック。
小鳥が二羽、雨の中飛んでいる。
言葉にならない気持ちは音にのせよう。
音にして風に運んでもらおう。
空に溶けていく。
夜が好き。
昼間には素通りする何かの気配をたくさん探してしまう。
そこに息づいている何かは闇の中で溶けて私の肌につながっている。
何もない日というのが結構ある。
気分がのれば料理をしたり、家のいろんなことをしてみたりする。
気分がのらない日はほんとに何もしない。
ただ、台所の椅子にすわって、外をみて、本を読んで、喉がかわけば、お茶を沸かしてのみ、お腹がすけば目の前のガスでパンケーキを焼く。
音楽も聞かないし、音楽もしない。
365日音楽なんてできない。
自分は飽きるんじゃないかと思う。
だから、飢えさす。
たぶん、人にも飢えて、出歩くことや、ニュースやその他いろんなことに飢えたころ、仕事という名の演奏へ出て行く。
そのバランスが自分にはいいらしい。
よくあちこちに出てますね。
と言われるが、実際に出てる以外はほぼ引きこもりじゃないだろうか。
人に飢えて人に会いたくなった頃人に会う。
旅に飢えて旅に出たくなった頃旅に出る。
音楽に飢えて音楽が欲しくなった頃音楽をする。
いつでもそうとは限らないけど、そんなバランスにしていくのは自分自身だから、自分のために。