2018
ぐんぐん山の上へ真っ暗な夜道を行く。
最近のツアーではよくある事。
ここは前にも来た気がする。
ライトに照らされる白樺の白い幹。
大きな鹿が横切る。
車を停めて!
星がすごく綺麗な気がする。
ライトも消して外に出る。
なんじゃこりゃ。
音が聞こえてきそうな気がするほどの星空。
太い天の川。
思わず銀河夜行を歌う。
息を吸うのが苦しいくらいの冷えた夜の空気。
それは岩手一関から三陸へ向かう夜の山の中の出来事。
一関は衣川という地区から依頼のメールが来たのは春になる頃の事。
そのすぐ後に岩手訛りの元気なおじさんから電話が来る。
どうやら衣川地区の会長さんが雑誌、現代農業の1月号の栃木県那珂川町での棚田コンサートの記事を見て、この人達を呼ぶ!と言い出したらしい。
その後で会長さんの娘さんからCDの申し込みがあったりして、なんだかとても熱心に呼ぶと思ってくれているのが伝わってくる。
岩手の衣川。
どんなところだろ。
どんな人達だろうかと想像を膨らませながら、いよいよやっとその日がくる。
現代農業の棚田コンサートの記事には私が歌っている写真が載っていたようで、一見歌ってるのか、話してるのか分からないと思うのだが、どうしてもコンサートでは歌を歌ってくださいということと、写真の通りにピアノではなくてキーボードだけで伴奏してほしいという事だった。
とにかく、あの棚田コンサートの通りに。
すみません。会長は頑固で言い出したら聞かないので、キーボードでお願いできますでしょうか?と間に入っている岩手訛りの元気なおじさん(千葉さん)から。
わかりました。
歌います!
そしてキーボードは、ピアノが無いところではキーボードを使っています。
ピアニストなので、ピアノが映える曲はピアノで、シンセ音がいい曲はキーボードでやるのはいかがでしょうか?
と尋ねると、あの頑固な会長がそれでいいです!といってます!
いやー良かった!と。なんとなく向こうの様子が垣間見えて、微笑ましく思ったのでした。
岩手に行くのだから、この夏にまたお世話になった三陸田野畑村の今橋さんに、そういえば夏に言っていた宮古のレストランでやってほしいという話がその折に実現したら良いなということで、結局のところ、どこで何をやるのかは、行く一週間前に分かったのですが(!)田野畑村の今橋さん念願のブータンの吉祥絵図をバックにコンサートというなかなか面白い事になってました。
ピアノの竹井さんが、帰りがわりと強行軍だったので、最終日の田野畑村から千葉までの時間をナビで調べて、8時間!
ということで、なんとなくその8時間!
が頭の中にあり、
初日の衣川地区の前日入りのリハーサルが四時からということで逆算して、首都高を通勤ラッシュが始まる前に出ましょう!ということで5時半に千葉を出たのです。
その時になって、ようやく衣川ってどこなの?
って調べた私が悪いのですが、
運転していた前田さんが!
衣川に着くのが午前中の11:30になってるよ。
って、だいぶ運転してからの一言。
え???
え?????
まさかの昼前?
そうか!岩手は四国より広いんだったぜ。
去年の夏に痛感したってのに、早速忘れてたよ。
3人ともおかしくなっちゃって車の中で笑いが止まらず。
眠くて頭が半分動いてない。
じゃあ観光すっぺ!
と厳美渓に寄ることに。
高校時代に来たぶりだ〜
それから大好きな山葡萄ジュースを買って飲み(母が幼い頃から私に毎日おちょこ一杯ずつ飲ませていた。なぜかしら?)
りんごの匂いにいちいち安い!いい香り!買いたいね!と迷う3人。
それから衣川のあたりを地図でみると、どうやら牧場がありそう。
そして馬がいそう!
という事で少し早いが衣川へ。
山を上がり(もうワクワクが止まらない)
牧場が見える。
想像以上の山の中だ。
そんな山間にふいに衣川の町があり、明日の会場である中学校が目に入る。
そこをさらに山の上へ少し行くと、あ!なんか牧場があると思ったら、車の脇の牧場を馬が5頭ほど走ってすり抜けて行く。
あまりのタイミングに涙が出そうなほど。
サラブレッドじゃないし寒立馬でもないし、木曽馬でもないし、なんかとても可愛い。
色んな馬がいる。
秋の紅葉の山の上の牧場。
少し曇っているこのグレーな空が栗色の馬たちの毛並みにとても似会う。
ヨウシュヤマゴボウ?だっけ?
の草がまた似合うんだ。
それから少し発声練習をする。
馬が驚いて近寄ってくる。
寒さが身にしみて心地よい。
遠く山の向こうが晴れてきた。
続く。
厳美渓
衣川のおうまさん達。
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この記事へのコメント
奥山が、ススキが、お馬さんが、空があなた様を呼んでいるんですね、自然と人と、お馬さんとのふれあいの世界に、馬頭琴、加えての歌声・・・、聞く人も聞かせる人も至福世界ですね。
山の上、お馬さん、ススキの原、雲からさす光。完璧な世界でした。